今後の旅館経営、ITに活路 政策金融公庫調査で判明


 日本政策金融公庫は18日までに、「旅館業の経営実態調査」の結果をまとめた。それによると、現在の東日本大震災による経営の影響は「マイナスの影響」が47.5%となっている。地域別に見ると東北ではマイナス影響が6割を超える一方、「プラスの影響(復興需要など)」が14.7%あった。今後の経営では「情報通信技術の積極的な活用」(41.8%)を挙げる施設が最も多く、ITに活路を見いだそうとする動きが強まっていることが分かった。

 調査は昨年11月、全国の支店が融資した宿泊施設1987軒を対象に実施した。回答数は799軒(回答率40.2%)。業種は旅館が65.6%、ホテル17.2%、簡易宿所16.8%など。業歴は20年以上30年未満が21.5%、30年以上40年未満が17.7%、40年以上50年未満は12.8%だった。従業員数は5人以下が51.6%と最も多く、6〜10人20.8%、11〜20人14%となっている。

 宿泊客数と宿泊客単価の前年(10年11月〜11年10月)と比べた増減動向を見ると、「減少」(それぞれ35.2%、29.9%)が「増加」(同26.2%、10.4%)を上回っている。まして、宿泊客1人の1泊当たり平均宿泊単価は4千〜6千円未満が26.0%と最も多く、以下、6千〜8千円未満23.9%、8千〜1万円未満18.6%。増減動向は「増加」が10.4%、「ほとんど変わらない」57.1%、「減少」29.9%だった。

 領土問題を機に、中国や韓国など北東アジアの外国人観光客が減っているが、経営上「かなり影響がある」「ある程度影響がある」と答えたのは合わせて17.8%にすぎず、「影響はない」の53.3%を大きく下回っている。

 経営上の問題点(複数回答)で最も多かったのは「施設の狭あい・老朽化」で53.6%に上った。以下、「宿泊単価の低迷」(39.3%)、「資金不足」(36.5%)と続いている。

 経営面での取り組みとして宿泊プラン(割引プランは除く)の実施状況を聞いたところ、「現地での体験付きプラン」が14.6%、「記念日イベント付きプラン」が14.2%、「性別限定プラン(女子会プラン、エステ付きなど)」が13.5%あった。集客面で特に実施効果が高いプランは記念日イベント付きプランで18.9%の施設が挙げた。

 施設からは「春から秋は天然芝フットサルのスポーツ体験、冬はかまくら体験など、季節に応じて当施設でしか体験できないことを強調」「フィットネスクラブ、温泉、プールを併設しており、スポーツ.健康を組み合わせた宿泊サービスを提供」といった声も寄せられており、集客に知恵を絞っていることがうかがえる。

 今後の経営方針では、IT活用のほか、「宿泊に特化した、安価でシンプルなサービスの提供、施設づくり」(37.4%)、「自然景観を生かした趣のある施設づくり」(23.9%)などに取り組む施設が多かった。

 
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